御手洗潔と僕。
事の起こりは三週間前。
私は彼のいない時間をもてあまし、ただ虚ろに部屋に篭っていた。
何をする気にもならなくてただ眠ることと、辛うじて食物を腹に押し込むことだけをしていた。
そんな自分にも嫌気が差してきた頃、散らかし放題の部屋を片付けようと何気なく目をやった先に
ずっと飾るだけで満足していた本と目が合った。
島田荘司の御手洗潔シリーズである。
彼がアメリカに発つ前に、我家に置いていった物だ。
最初はあまり興味を持たなかったのだが、電車での通勤時間に読むようになり、そのまま御手洗の活躍に翻弄され続けているうちに当初文庫本で出ていた龍臥亭事件までを読みきってしまった。
その後、慣れないインターネットを駆使して原書房から出ている物など(10冊近く)を買い漁ったのだ。
購入当初は、意気揚々と読む気でいたのだが、引越して間もない慣れない生活と仕事に追われ、とうとう2年の月日が経とうとしている。
私は徐に一冊の本へ手を伸ばし、頁を捲った。
こうして私の時間は動き出したのだった
- 著者: 島田 荘司
- タイトル: 最後のディナー